耐性株

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 2月12日付けの読売オンラインで、耐性株か変異株を思わせるHIVがニューヨークで出現したと報道された。主な内容は「ニューヨーク市の保健当局は11日、複数の薬を服用する多剤併用療法が効かないうえ、感染から発症までの潜伏期間が極めて短いとみられるエイズの患者を確認したと発表した。」 この件に関しては、今後も注意していかなければならないであろう。
 

 日本の医療現場では、他国に比べて「異常」に抗生剤の処方が多いと聞く。家庭医に「風邪」で受診すると、必ずと言っていいくらいに抗生剤を処方される。数週間前のNHKテレビ「ためしてガッテン」でも取り上げられていたが、単なる風邪では抗生剤が不要であるし、インフルエンザでは抗生剤が効かない。風邪から肺炎へ移行することの懸念から「予防的」に抗生剤を処方するという。
 私は医学的に全くの素人である。それを承知で書くと、目先の得だけを目的に処方された抗生剤が、どれだけ耐性株を作るのか、処方する医師達は認識しているのであろうか。 MRSAを例に出すまでもなく、耐性菌は人間にとって驚異だ。それを必死になって治療するも医師ならば、作っているのも日本の医師達とはいえないだろうか。これから先は、私の勝手な想像ではあるが、日本人の医師と患者の関係は、数十年間までは、完全に主従の関係であった。医者から渡されるクスリは多いほど患者から喜ばれた。日本は、皆健康保険制度であるので、個人負担はクスリの量が増えようとも、さほど変わらない。両方の思惑が一致して、不要な薬剤の処方となるのではないか。今は改善されたと聞くが、保険で支払われる薬価と実勢薬価がかけ離れていて、その差益が病院の重要な収入源であった時期があった。クスリを出せば出すほど儲かる仕組みである。
医療が医・薬分離となって、患者側としての利点は何であろうかと考える。表向きは「自分のかかりつけ薬局」を持つことによって、複数の病院を掛け持ちで受診しているとき、重複薬剤のチェックなど、トータルなクスリのケアが出来るといっている。しかしながらどれだけの人が「かかりつけ薬局」を持っているのであろうか。私感だが、ほとんどの患者は、外来の場合、その医療機関の近所にある「門前薬局」で、クスリを購入しているのではないだろうか。私もそうである。理由は簡単で、「門前薬局」は、その近所の医療機関の処方のクセを知っているので、薬剤が揃っていると言うことである。例えばゾロと呼ばれるジェネリック薬剤を処方されたとすると、「門前薬局」には在庫があり、その他の薬局ではその元になった薬しか無い場合がある。その場合、多くの薬局は「取り寄せ」となる。 急性疾患で、一刻も早く薬剤が欲しいときこのようになると、とてもツライ。 今の医療保険制度は精査していないのだが、院外処方により、医療機関側には処方箋料、薬局側には管理料が加算されると聞いた。「門前薬局」から医療機関へのキックバックは、有るか無いかはわからないが、何らかの形で「ある」と考えたほうが自然であろう。
いままでの、院内処方で病院からクスリを買っていた時代と何が違うのだろう、と考えることがある。対外的には「医薬分離しています」と言えるが、現実的には、いままで院内であった「薬局」が、病院を出て数十歩の「薬局」になって、支払いが別々になっただけではないか。アメリカではすでに実現しているが、「マツモトキヨシ」のような大型ドラッグストアで、全ての処方箋を受け付け、かつ殆どの薬剤の在庫がある。場所も、営業時間も便利である。
インフルエンザが流行りそうな気配である。数年前に日本で発売された「タミフル」はインフルエンザの特効薬である。2年前は在庫が底をつき、使いたいのに使えない事態が発生した。余談だが、このクスリは1錠363円もする。インフルエンザは辛い、高熱が出て全身が痛くなる。それを緩和、治療をするのが医師の役目である。幼児や高齢者ではそれが元で重篤になり、死に至る場合ありえる。このようなとき、このクスリを使うのは、至極当然だ。しかしながら老若男女、誰でも検査キットでインフルエンザのウイルスの感染がわかったら即時に「タミフル」なのであろうか。その患者の全身状態を見て、休養、解熱などの対症療法で経過を見ることは、許されないのか。日本医師会の公式の文書で、「-早期に診断を行い、抗インフルエンザウイルス薬の投与を行うことが有効であるが、本剤は、医師が特に必要と判断した場合にのみ投与することとし、たとえば以下の場合に投与を考慮することが望ましい。-インフルエンザウイルス感染症に罹患した場合に、症状も重く死亡率が高いと考えられる者(高齢者、免疫不全状態の患者等)等」 と規定しているが、本当に守られているのか甚だ疑わしい。インフルエンザの耐性株も見つかっている。案の定、抗生剤と同じ轍を日本の医師達は繰り返している。

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さとら :

HIVは別としてよくみられる菌の耐性菌の場合、
患者側の薬の飲み方が問題になる場合もあるそうです。
耐性菌問題に気をつけているお医者さんなら
不必要な抗生物質の処方をしないことはもちろんですが
同じ抗生物質を使い続けないことや
処方する場合はその菌を完全に取り除くために
長めの期間、かつ複数、処方するようにしているらしいです。

病原菌Aに対する抗生物質がXとYがあるとすると
まず最初にXを使います。
すると大体の病原菌Aは死滅しますがごく一部Xに耐性を持つ
病原菌Axができてしまいます。
これを完全に取り除くためにつぎにYを用いたりするようです。
それが症状がよくなったらまだ残っているのに
薬の服用をやめたりすることってありませんか?
そうすることによって耐性菌が広まるということもあるようですので
薬をもらったらそういうことをお医者さんに聞いて
これは全部飲むべきなのか、症状がよくなったら飲まなくてもいいものかも
聞くようにしてみるのも自衛の一手段かもしれません。
もちろん一番重要なのは医師側の意識の改善だとは思いますが。
(そういえば滅多に(絶対?)使ってはいけない抗生物質もあるみたいですよ。
最終手段として残してあるものもあるそうです)

むにむに :

タミフルの使用に関しては本人だけでなく飛沫感染拡大防止の意味も考えると投薬に必要性はあるかもしれませぬぞ。
確かにタミフル投与タイミングを逃している患者さんに対して投薬するDr.は問題あるでしょうねぇ。
この手の薬はDr.の指示通りにちゃんと服薬させなきゃ意味がないのでDr.もしっかり指示して欲しいもんですね。

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1962年東京生まれ
1994年結成以来、Bear_Club_of_Japan 代表・会長

◎日本のGLB&Tコミュニティの中でひっそりと生息している◎日本各地、世界各国を熊を求めて行脚しているらしい◎最近は沖縄とサンフランシスコに頻繁に出没◎パートナーあり◎体重6キロのシャム猫と同居◎

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このページは、Lonestarが2005年2月15日 12:25に書いたブログ記事です。

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