検査は怖くない・・・・か?

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先月「男魂」というイベントが東京・新宿であった。キューブという店で行われたのだが、この日をもって閉店するという。HIV・AIDSイベントに協力的で使用料も割引していたそうだ。内容は、20~30歳代をターゲットにしていて、42歳の私には少しつらい内容ではあった。プログラムは、2丁目のバーのマスターのドゥラッグショーもあり、若い年代から「昭和の香り」との声はあったが、全般に好意的に受けいられていた。全体の盛り上がり、パワーは凄いものがあった。

 その中で特に目を引いたのがエスムラルダ氏主演の「検査なんて怖くない」であった。今回のイベントのために制作されたと聞いたが、ここまでリアルな設定を見たことがない。東京都が運営しているHIV無料検査所「新宿南検査所」を実際にロケに使い、また、実際に勤務している所長が出演していた。
 ドゥラッグをセクシャルオリエンテーションをもつ人が、過去を振り返り、検査へ行くことを思いつき、南検査所へ行き、検査を受け、陰性の結果を聞きに行くと言う内容だが、ドゥラッグ姿で地下鉄に乗るシーンもあり、撮影には大変な労力が必要だったであろう。
また、アタマの硬そうな東京都がここまで協力をしたことは信じられないことでもある。
 主演者の告知シーンの前に、他の受検者の陽性告知のシーンがあったが、とても、リアリティがあった。なぜなら、私がいつも告知を受けている医師(所長)だからである。
 自分でここに書くのも変だが、私はセックスのアクティビティは大変高い。逆にパートナーとは精神的つながりの比率が高く、性的つながりはほとんど無い。また、オープンリレーションシップを一応標榜しているので、特に他の男と性的関係を持っても、罪悪感はほとんどない。私もパートナーの行動は自由で良いと思っている。
 性的欲求はとても高いと自覚している。ゲイの世界を知ったのがアメリカだった為か、セックスをエンジョイすることを初めから教え込まれてしまったようだ。日本でも、ハッテン場にはいまでも頻繁に出入りしている。
 10年少し前、サンフランシスコに頻繁に行っていた頃と基本的には今でも変わらない。当時のサンフランシスコはゲイのコミュニティはAIDS一色であった。地元のゲイ新聞の死亡記事は毎週何十名の名を掲載されていた。当然、地元のハッテン場に来る人の殆どがHIV+と言う状況だった。そこに私は頻繁に通っていた。
 そのころから自分のセックスのガイドラインが出来たと思う。そのようなところへ行っていると言うことは、「リスク」は絶対にゼロにはならない、しかし、自分のコントロールで、リスクを高くすることも低くすることも学んだ。
 帰国後、当時始まったばかりの無料HIV検査を受けることを、とても躊躇した。「怖かった」のである。散々迷ったて受検し、検査結果の判定までの2週間は、まともな精神状態でなかったことを良く覚えている。
 それから十数年、相変わらず日本でも、アメリカでもアクティブに活動している。基 本的に、行為を行う相手は全て(HIV+を持っている人と)同じガイドラインをもって行動している。私はローリスクな行為は行う。ハイリスクな行為を行う時には、絶対に例外を作らないし、過去にも無い。 ウイルスがどこに存在し、どのようにして物理的に人から人へ移るかを学べば、とっさの時の判断も間違えることは少ない。
 今のところ私はHIVは陰性である。これは結果であるが、これから先も、多分同じ行為を当分続けると思う。 検査は定期的に行ってはいるが、やはり「怖い」ことは変わらない。HIVを持っている(元)パートナーをはじめ、何人もの友人がいる。今のHIV診療の基礎知識くらいは持っている。薬を飲めばHIVで命を落とすことはないことも承知している。
 学校のテストの合否の結果に近い「怖さ」である。いままで、自分が正しいと考え行動してきた結果の可否が、HIV検査で明らかにされる、もし否であれば、HIVへの恐怖というよりも、それまでの自分の行動、あるいは人生観まで否定されるような気がするのである。
 人生を楽しみたい、ゲイと生まれたので、ゲイとしてとことん楽しみたいと貪欲に思っている。その中での時々現れる関門がこの問題である。
 

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 先月のイベントで上映したエスムラルダの「検査なんて怖くない」というビデオが、3月20日に仙台で行われる勉強会や、3月21日に二丁目で行われる「二丁目ファンタス... 続きを読む

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エスムラルダ :

はじめまして。
エスムラルダと申します。

GUTSへのご来場、ありがとうございました。
また、検査ビデオへのご感想、ありがとうございます!
非常に興味深く拝読させていただきました。

今回のビデオは、「恐怖心をなくし、できるだけ多くの人に
検査に行ってもらう」という目的で作られたものであるため
「検査は怖くない」が前面に出ているのですが
確かに、怖いものは怖いですよね…。

制作者に相談して、最後のナレーションだけでも
変えられたら、少し変えたいなあ、と思っています。

なおドラァグは…。セクシュアルオリエンテーションではなく
単なる仕事です…。

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1962年東京生まれ
1994年結成以来、Bear_Club_of_Japan 代表・会長

◎日本のGLB&Tコミュニティの中でひっそりと生息している◎日本各地、世界各国を熊を求めて行脚しているらしい◎最近は沖縄とサンフランシスコに頻繁に出没◎パートナーあり◎体重6キロのシャム猫と同居◎

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このページは、Lonestarが2005年2月 2日 12:18に書いたブログ記事です。

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