リタリン
毎日新聞が、独自に追いかけているニュースがある。 向精神薬「リタリン」問題である。
リタリンという薬剤は、当然医師が処方しなければ入手できない薬であり、麻薬及び向精神薬取締法上の第1種向精神薬に唯一指定されている薬剤である。 処方目的は
ナルコレプシー
抗うつ薬で効果の不十分な下記疾患に対する抗うつ薬との併用
難治性うつ病、遷延性うつ病
だけでありるが、ADHD(注意欠陥・多動性障害)にも応用され、欧米では積極的に使用されている。
では、なぜこの薬が問題になるのかというと、服用すると、多幸感、覚醒感を実感できること=(合法)覚醒剤ということであり、長期にわたり服用すると、いわゆる「リタリン依存」に陥ることになる。
依存症(いそんしょう、いぞんしょう)とは、精神に作用する化学物質の摂取や、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返し行った結果、それらの刺激なしにはいられなくなった状態のことである。
今日の毎日新聞には、この問題について、東京新宿にある「東京クリニック」を名をあげて報道している。 このクリニックは、過去にリタリンの処方について厚労省から10回の警告を受けながら、改善がみられず、安易にリタリンを処方しているという内容である。
ここに、現在精神科医療の問題点のひとつがある。 世の中が成果主義にはしり、それに必死でついて行こうと無理をして心の病を発症する。 あるいは、過去には「精神科」病院にいくと言うことは、敷居が高かった。 現在は「心療内科」という比較的、心理的に敷居の低い医療機関も増えてきた。
では、実際の外来の精神科医療の実態はどうなのであろうか。 精神科の診断は、担当医との「問診」で診断をつける科であり、内科のようにCTや脳波や血液ををとって診断をするものではない。 友人の精神科医は初診には30~40分の時間をかけると話していた。 しかし、そのように時間を割いてくれるドクターは少なく、また、現在の医療保険制度において、時間あたりにある程度の再診の患者を診なければ採算がとれないという現実もある。
外来で診られる程度の精神疾患ならば、薬剤で治療するのが基本であり、医師は、個々の患者に適した薬剤を処方することが、精神科医師の重要な役割なのである。 しかしながら、その処方もドクターの質の差が非常に激しく、「きれいな処方」を心がけている医師は少ないのではないかと感じる。 患者から、愁訴があれば、それの対応薬を次々に足していくという処方である。 「眠れない」といえば、次々に睡眠薬を処方し、不安感があるといえば、抗不安薬を出す。 効かなかったといわれれば、次々に薬剤を変え、または増やしていく。 そのような医療現場において、リタリンが欲しいために、ナルコレプシーを演じる患者には簡単に処方してしまう。 さすがに、リタリンだけは多くの精神科医が注意をもって処方しているようだが、件のクリニックは簡単に処方していたそうだ。
うつやパニック障害などを持った人が、気楽に精神科を訪れるようになったことはとても良いことだと思う。 しかし現在の医療は、増え続ける患者に対応できていないのが現実なのであろう。
(一部Wikibediaから引用)
毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070918k0000e040071000c.html
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