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2004年11月11日
カミングアウト
「ぼせweb」の第4回目のお題がこれである。この話題は少しばかり私のトーンが下がる。周りの、ゲイ活動家の方は、大方、「積極的にカミングアウトせよ」と言っているように聞こえる。
この前の土曜日、元相方が参加しているNPOの講演会が、慶應義塾大学の教室で行われた。招かれたスピーカーの方は、大塚隆史さんともうひと方であった。大塚さんは、現新宿3丁目のバー「タックスノット」のマスターで、過去に薔薇族の編集部、ラジオの人気番組「スネークマンショー」でゲイを前面に出して話したり、日本における「ゲイリブ」以前の代表的なゲイの一人である。
大塚さんの話は面白く、あっという間の45分ではあった。彼はご自身が日本における「カミングアウト」という言葉を使い始めた、と仰っていた。それはそれで、とても重要なことで、20数年前、ゲイがゲイと名乗れる環境が無かった日本に「カミングアウト」という言葉を使い始めて、ご自身も周りの方々にカミングアウトされたそうだ。
私は、基本的に、「カミングアウトは慎重に」という立場である。自分の性的指向を他人に押しつけるようなカミングアウトは絶対に嫌いである。
人と人の接し方は、相手が100人いれば、百態ある。男女、付き合いの浅い深い、職場などの上下関係、など扱いが全く異なる。 単なる友達とか、職場関係の人たちにあえて、こちらから、自分の指向を積極的に言うことが必要か、と考えるのである。数日前のミクシィの話題でも触れたが、声高に自分のことを言うことはない、と強く思う。 自分と相手の関係が深くなり、双方に信頼される関係ならば、この話題をしてもよいと考えるが、あえて、自分から言う必要はない。 世渡り術みたいだが、世の中キレイ事だけではすまない。職場でカミングアウトしたとしても、得られる満足感と、訪れるであろうマイナス要因を天秤ばかりにかけると、大概の職場では、マイナス要因の方が大きくなる。
我々を含めて、日本では、ゲイを含む「少数の性的指向を持つ人」達を理解しようとする教育が為されていない。大方の人がそれらの人に対して、間違った或いは偏った情報を持っている。男性同性愛者と言えば、女装して、ナヨナヨして、オネェ言葉を喋る、といった偏ったイメージである。
ある人が、多数の人の前でカミングアウトして、その間違っていたり、偏ったりしている人のイメージを変えることが出来るであろうか?大方の場合は、それが出来ない。
ある人と、親交が厚くなれば、カミングアウト後のケアもしやすい。その人は貴方に興味があるのだから。時間をかけて、「ゲイとは何か」を伝えることができるかもしれない。そして、本当の貴方を理解できるかもしれないし、ゲイ一般のことも少しは理解が出来るようになるかもしれない。
カミングアウトをするということは、人の前で「私はゲイです!」と言うことだけではなく、そのあとのことも考えてすべきだ。
テレビなどのマスコミでは、このごろ安易に「カミングアウト」という言葉を使う。前述の大塚さんも嘆いていたが、本来は「身内の恥を、他人にさらす」という意味であるそうである。安易に使いすぎて鼻につく。
私は、『「カミングアウトすることは慎重にすべき」と主張するゲイ』とカミングアウトする。
ぼせweb:4.友達へのカミングアウト体験 - [同性が好きかもしれないキミへ]
投稿者 tokyobear : 2004年11月11日 15:19
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では[同性が好きかもしれないキミへ]プロジェクトの
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