介護 もしもの時の手引き

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何回か、この話題をしてきたが、このブログを読んでくださっている方に、もし私と同じ状態になったらどうしたらよいのかと、私の経験から書いてみる。

 もちろん、家族構成、兄弟姉妹、別居、同居などの違いこそあれ、基本はほとんど同じである。

 脳血管障害には、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血がある。 総称して「脳卒中」とよんでいる。  どれも、脳内の血管が破れるか、詰まって、脳細胞に血液が行かなくなり、脳細胞が死滅してしまうものである。 脳細胞は、死滅してしまうと、いかなる手段を持っても再生しない。

 これらの病気は、ほとんどの場合突然起こるようだ。 兆候がある場合もあるようだが、それを感じて受診できる人は少ないそうだ。 

 これらの病気の発作が起こると、 当然倒れる。 その場に居合わせたならば、即救急車を呼ぶ。 救急隊員はなれて居るので、おおよその判断が出来る。 病院も、脳神経科のある、比較的大規模な病院を選ぶべきである。 MRIがあれば、たちどころに診断がつき、次のステップに移ることが出来る。 だから、救急隊員には無理を承知でも、専門病院に運ぶことを要求すべきだと思う。

 脳梗塞の場合、最近の治療では血栓溶解療法 t-PAという療法があり、後遺症を軽くすることが出来る療法があるが、発作後3時間以内でないと効果がないといわれている。

 病院に運ばれると、上記の診断が下される。 出血ならば血を止める治療、 梗塞ならば、梗塞を解く治療を開始する。 ただし、梗塞の場合、早く梗塞を解くと、ダメージを受けた脳に血液が流れ込み、 脳出血を起こすことがある。

 ダメージを受けた脳は、徐々に浮腫んでくる。 脳浮腫とよばれ、脳圧が高まる。 頭蓋骨で覆われた脳は逃げ場がないので、脳圧が高くなると、頭蓋骨に穴を開けて強制的に脳圧を下げる手術をを行うことこともある。

 データ的に脳血管障害の発作から、1~2日で亡くなる方が多いと統計的にはっきりしている。

 これらの急性期を乗り切ると、 ダメージを受けた脳の範囲を勘案しながら、リハビリを開始する。 末しょうの血管の梗塞では、早めのリハビリの開始で、発作前とほとんど同じ生活を送ることが出来る人も多いそうだ。

 後遺症については、 軽度から重度まで各人違うので一般論で語れないところである。 しかし、今の医療では、生命の危機がなくなったらすぐにリハビリを開始することが常識となっており、 入院して3,4日から軽度のリハビリを行う。

 家族としては、このあたりで、主治医に話を聞いて今後のことを検討すべきである。 軽度なのか重度なのか、 どのくらい回復する見込みがあるのかをはっきり聞いておくことが大切である。

 重度の場合、このあたりで、介護認定の手続きを視野に入れるべきである。 介護認定には医師の意見書が必要だが、それを書いてくれるか、くれないかをはっきりと聞くべきである。 医師に直接聞きにくいのならば、 MSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー)が配置されている病院ならば、 このあたりでMSWとコンタクトをとるべきであろう。

 一般的に救急車で運ばれる病院は「急性期病院」であり、3ヶ月を超す入院をすると、診療報酬減らされる関係から、それまでに退院あるいは、 転院を強く勧められるはずである。  

 軽度で自宅介護が可能ならば、 地元の行政に相談して、 在宅介護の業者選定、 ケアマネの選定を行うことになる。 在宅で介護は無理と判断されると、 転院先を探さなければならい。 その仕事はMSWが担うのだが、 東京の場合、転院先がなかなか決まらないことが往々にして多い。  一般病院は、 例の3ヶ月縛りがあるので、 まず引き受けない。 残るは、 特別養護老人施設(特養)、 老人健康施設、療養型介護施設(健康保険型、介護保険型)しかない。

 特養については、 入所待ちの人員が非常に多く、 要介護4,5で、介護する人がいないなど、 かなり入所条件が厳しい。 また、 医療的処置が多いクライアントも対応が難しいため不可となる。 老健は、 基本的に自宅に戻るための施設であり、 3ヶ月ルールがある。 療養型施設は「病院」であるので、医療に関しては一番手厚い。 しかしながら、 施設により「オプション設定」や「差額ベット代」が加算され、費用はかさんでしまう。

 療養型医療施設は、健保あるいは介護保険から給付されるが、 出来高払いではなく、 一人について、 どれだけの介護・医療サービスをしたににしても、病院への支払いは定額払いである。 従って、 高度な医療を望むのは困難である。 病院は患者一人あたりのコストをどれだけ下げられるかで運営しているのである。

 このあたりで、介護する人の経済状況が大きく関わる。 本人なり、介護する人が資産を多く持っているのならば、 リハビリや介護に十分力を入れている病院に入院させることが出来る。 私が聞いた中には差額ベット代が1日5000円は当たり前と聞いた。 これは介護保険1割負担とホテルコスト、食費でトータル30万円ほどになる。

 一方、特養は6~9万円ほどで済む。 申込者が多いのもうなずける。  しかしながら都市部での特養入所は、よほどのことがないと無理と考えた方がいい。 2~3年待ちが当たり前と言われている。 私の場合は少し特殊だったので、 3ヶ月で2軒ほどの特養から話があったが「チューブ」問題で不可となった。

 こうなると選択肢が無い。 特に軽度の認定で自宅介護可能と判断された場合、 本当に、 自宅で、自分自身が介護するほか選択肢が無くなる。
 
 有能なケアマネがいて、望むようなケアプランを立ててくれるような介護事業所を、自分で探さねばなくなる。 行政は、リストはくれるが、どこが良いかは教えられない。 こればかりは、 自分で事業者を訪ね、判断するより仕方がない。

 いろいろなところで「介護相談」をやっているが、 話は聞いてくれるが、 最終的に判断するのは介護者であることを実感される。 具体的にどこの施設が良いかなど絶対に教えてくれない。 それらの情報は、自分で探すほか無いのである。

 QOLという言葉があるが、これは病の人たちのためだけでの言葉ではない。 私のように介護する人間もQOLがあり、介護を続ければ、相当の資産家でなければQOLは低下する。 

 将来、親の介護が済んで気がついたら自分のQOLが低下して、自分が何かあったときに何も出来なくなると言う、ある意味で本末転倒な状態にならぬよう、介護が始まりある程度の時期が来たら、自分の将来設計の見直しも必要になってくる。



 

 

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1962年東京生まれ
1994年結成以来、Bear_Club_of_Japan 代表・会長

◎日本のGLB&Tコミュニティの中でひっそりと生息している◎日本各地、世界各国を熊を求めて行脚しているらしい◎最近は沖縄とサンフランシスコに頻繁に出没◎パートナーあり◎体重6キロのシャム猫と同居◎

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このページは、Lonestarが2008年7月 5日 20:49に書いたブログ記事です。

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