2007年08月07日
何故?
HIV感染者が増え続けている。 各種行政施策、NPO、NGO、ボランティアの活動、数年年前に比べれば格段に活発になってきているのに、何故?
やはり、同性間性交渉の感染が7割近くを占めている。
このことも、やはり、日本にはLGBTのコミュニティが無いことの間接的な証明にはならないだろうか。例外はあるにせよ、コミュニティと呼ばれる集団は、属しているコミュニティを守ろうとする。 少なくとも崩壊する方向には導かない。 HIV・AIDSが減少方向にならなければ、コミュニティどころか、また、HIV・AIDS=ゲイの病気論や差別が助長される。
楽しく、気持ちよければいい、これは誰しも同じである。 しかしながら、これだけ、HIV・AIDSが流行していて、それも同性同士の性行動での感染がほとんど、いろいろなの知識をいろいろな場所で流しても、流されてしまう人が多すぎるのは、 何故?
検査率が上がったのは確かであるし、それに伴って報告数が上がるのは当然。 しかし、検査にも行けなくて、自分のステータスが解らないまま、アン・セーフな行動をしている人が多いのが想像できる。
たぶん彼らに聞いても、自分は大丈夫、周りにHIV・AIDSを持った人がいないからという答えが返ってくるだろう。
AIDSを発症してから判明した人も110人を数える。 彼らは平均で5年以上自分のステータスを知らずに過ごしてきている。
今解った人は、氷山の一角である。 海の中にある氷山の元は、今の何十倍、何百倍になるだろう。
その人達が、不幸にして将来AIDSを発症したらどうなるか想像していただきたい。 「薬があるから大丈夫」は確かにその通りである。 カクテル療法を行えば、かなり進行したAIDSも症状を抑えることができる。
危惧するのは、社会保障システムの崩壊の方である。 現在、HIV・AIDSの治療には、手厚い保護が行政によって行われている。 身体障害者手帳を取得して(内部障害)更正医療を受ければ、医療費が相当軽減される。 しかし、HIV・AIDSの患者が増え続ければ到底、今の給付水準を保つことが出来ないのは当然である。
コンビビル 1錠1892円、 ビリアード 1錠2048円、エプジコム 1錠3916円、ツルバダ 1錠3834円。
これらの薬を毎日複数、数回飲むのである。 更正医療がなかったら、健康保険の3割負担で、薬剤だけで日に3000円以上、月に9万円かかってしまうのである(実際には健康保険には支払いの上限はあるが)
更正医療や健康保険が破綻したら、HIV・AIDS以外の病気の給付も影響を受けることになるだろう。
私が働き始めたときには、部内の病院は無料だった、それが1割負担になり、今は3割自己負担となっている。 将来、このままの給付水準、保険料であるかは、まったく保証がない、というか確実に受給者にマイナスに動くだろう。
HIVの感染メカニズムは、難しいことではない。 それを防ぐことも難しいことではない。 では、感染が増えるのだろうか、何故?
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HIV感染270人、厚労省最新3か月集計で最多を記録
厚生労働省エイズ動向委員会は7日、4月2日から7月1日までの3か月間に医療機関などから新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者が270人で、3か月間集計としては過去最高となったと発表した。
エイズ患者も110人で過去2番目に多かった。
感染経路別で見ると、新規HIV感染者で最も多かったのは同性間の性行為で182人(67%)。うち175件を日本人男性が占めた。新規エイズ患者でも、同性間の性行為が45人(41%)だった。
同委員会は「検査数が伸び感染者数を押し上げた面はあるが、感染者の増加に歯止めがかかっていない」と分析している。
(2007年8月7日19時23分 読売新聞)
投稿者 tokyobear : 20:10 | コメント (0) | トラックバック
2007年08月01日
エロのないゲイ・マスメディア
日本では、永易氏が「にじ」を創刊され、「同性愛者のための『暮らしの手帖』」の編集方針で、エロ抜きのゲイマガジンを発行していたが、やはり、当然興味を持ってくれるだろうと考えた、NPOや各種団体には残念ながら興味を持たれず、また、一般のLGBTの方々にも浸透したとはいえず、2年8冊で、休刊してしまった。 再刊を待たれるところである。
アメリカには「Adovocate」という、エロのない、政治経済から健康問題、恋人募集まである総合ゲイ雑誌が、20年前以上から発行されている。
デジタルと出版を上手に使い分けて、速報性のものはデジタル、じっくり読んだり、考えたりするものは紙媒体と、「Adovovate」のなかでも棲み分けている。
フランスで同様なコンセプトの元で発行されている、「Têtu」がある。 先月から、ベアのつながりで、私が東京でLGBT関連ニュースのレポーターを仰せつかっているので、31日のデジタル・ニュースでは、日本の選挙のこと、尾辻氏のことが速報されていた。
http://www.tetu.com/rubrique/infos/infos_detail.php?id_news=11677
と書きながら、全く仏語が読めないのが、ひどく残念ではある。
両紙はゲイの一般紙ではあるが、「A Bear's Life」は、アメリカのエロなし雑誌ではあるが、ゲイの中でも、ニッチな「熊」だけを対象にしている。 果たして採算の載るのであろうか。
http://www.abearslifemag.com/
次号では、私の拙い文章が載るはずである。 かなり恥ずかしい。